陰毛の機能

Updated on October 25, 2021

陰毛の機能

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大人になるとなぜ陰毛が生えるのか。子供の頃、あるいは思春期で陰毛が生え始めた頃、疑問に思ったことがある。友人と話し合ったこともある。「性器を隠すためではないか」、「石鹸の泡立ちをよくするためだ」という友人もいた。

なぜ、人間だけ生えているのか?というより、人間は体毛がなくなったのに、なぜ、頭部、局部および腋の下にのみ体毛が残ったのか?ということが疑問である。

胃がんになって3年が経過して、抗がん剤がアブラキサンに変更された。「アブラキサンの副作用のひとつとして、90%の方は頭髪が抜けます」と言われた。実際にアブラキサンの投与が始まり、約3週間後から頭髪が抜け始め、更に1〜2週間経過してすっかり禿げ頭になり、90%に属する一人であることが判明した。更に数週間遅れて、髭と陰毛もなくなった。「髭と陰毛も抜けます」とは言われなかったが、特に抗議はしていない。完全になくなったわけではなく、産毛のようになった。一目見ると毛がないように見えるが、よく見ると細くて白い産毛が残ってはいる。しかし、禿げ頭になり、パイパンになったことは間違いない。

そうなってみて初めて、陰毛の役割が理解できた。

陰毛がなくなると、陰部が湿っぽくなり、ペニスと睾丸が素肌に密着して気持ちが悪いのである。陰毛が生えていてもペニスと睾丸の位置が悪いと時々位置をずらしたくなるが、陰毛がないとそれが頻繁になる。ブリーフ・タイプのパンツは押さえつけられるために、より密着しやすい。トランクス・タイプはまだましではあるが、陰毛が生えていたころのようにはいかない。小用を足そうとするとペニスが密着して丸まっているので取り出しずらいこともある。

陰毛が縮れているのは、毛の間に空気が入りやすいからと思われる。直毛では毛の間の隙間が少ない。腋の下も同様であろう。陰毛が生えていても、腋の下や陰部は湿っぽく感じる場所ではあるが、陰毛がなくなるとそれが激しくなる。常に半乾きないしは濡れている。陰毛があると、その隙間に空気が入るので湿り気が逃げるのだ。腿、腹部、ペニスと睾丸の間に陰毛が割り込んでいると、いつでも離れやすく、勝手に移動して、乾燥しやすいのであろう。密着して移動もしなければ湿り気は逃れようがない。男性の睾丸は、その温度が体温より低く維持されるよう、体外にぶら下がっているといわれるが、体に密着していたのでは、温度が低くはならない。陰毛のおかげで温度が低くなる。

ペニスや睾丸の間に布を介在させたり、それぞれを布で包むことも考えられるが、陰毛の硬さと疎らさが通風に適している。布では陰毛の機能を代替えできないと思う。陰毛は実によくできている。

つまり陰毛の機能とは、密着しがちな陰部に隙間を生じさせ、空気の通りをよくすることである。これにより、陰部皮膚の汗腺から分泌される汗は、陰毛の間隙にある空気中に蒸発する。湿度(と温度)が高まった空気は、足が動いて陰部が圧迫されたときに押しだされ、次の足の動きで陰部の圧迫が緩んだときに、陰毛の弾力による縮れ形状復元能力に助けられて、外部の乾燥空気が陰毛の間隙に吸い込まれる。足の往復運動により、陰毛間の空気が出入りする。

陰毛の属性として、皮膚を痛めるほどには硬くなく太くもないけれども、空気を取り込む隙間を形成するには十分な適度の硬さの毛が縮れ形状をしていて、その形状を維持し復元するだけの弾力性を備えていることにより、その機能が発揮される。

陰毛の機能については上記のように考えるが、禿げ頭になって頭を撫でまわしてみても、頭髪の役割や機能は理解できていない。

関連ウェブサイト: 佐藤浩嗣エッセイ集

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